アフタ性口内炎で、歯科、口腔外科、耳鼻科、皮膚科、内科等の医療機関を受診すると、ケナログ(オルテクサー)やアフタゾロン(デキサルチン)等の様なステロイド軟膏を処方される事が多いと思いますが、市販薬も含めステロイド軟膏には口内炎の痛みを和らげる効果はあっても、治癒を促進させる効果はありません。(よけい悪化させることもある)
即効画像サイト① 即効画像サイト② (←詳細は引き続き解説 )
当医院の軟膏検証画像 (即効画像)(←詳細は引き続き解説)
※ケナログ口腔用軟膏は2018年に販売を終了しています
※オルテクサー口腔用軟膏がケナログのジェネリックです
ステロイドを主成分とした貼り薬もまたしかり、口内炎を治すことは出来ません。
ステロイドの軟膏や貼付剤で口内炎が3日で治ったとします。それは塗らなくても3日で治ったはずで、薬が付いてる間痛みが楽なので薬で3日で治ったように錯覚してるだけです。
口内炎に限らず、炎症という現象は本来怪我や体内に侵入したばい菌から体を守るための防御反応です。放っておくと組織が腐ってしまい、徐々にその範囲が広がり、やがて全身が侵され、体が死んでしまうので、ちょうど例えるなら消防車が出動し火を消す様な現象です。免疫反応とも言います。
侵入したばい菌をやっつけたり、傷を修復しようとして局所に血液が集まってきます、それが腫れ(腫脹、発赤、熱感)という形で現れ、これ以上傷を刺激しない様に、痛みが出ます(痛いと傷をそーとするから)。それが炎症です。
ケナログやアフタゾロン等のステロイド軟膏(または貼付剤)は強力な消炎作用があり、付いてる間は痛みは楽ですが、炎症を抑えるということは同時に局所免疫力(ばい菌から傷を守る力)が低下し、傷の治りをかえって遅らせることになります。(一般的にステロイドを塗ると小さい口内炎が徐々に大きくなり、3日目位で大きさがピークに達し、その後段々小さくなり7日~10日で完治する経過を辿るケースが多く見られます)
ケナログを代表とするステロイド軟膏が如何に効果がないかご覧の通りです
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ケナログ使用参考画像サイト①
ケナログ使用参考画像サイト②
(痛~い口内炎~♪ 泣けてくる~♪) ビタミン剤服用参考サイト
ビタミン補給しても気休め程度、どんなに良くても治癒日数7日が5~6日になるレベル
口腔粘膜は皮膚の様に絆創膏を貼るわけにいかず、絶えず唾液を介してばい菌に晒されています。ステロイド軟膏を塗ると、自然治癒により傷が治りかけたかと思えば ばい菌に攻撃され悪化し、一進一退の状態が続くという訳です。
当医院ではステロイド軟膏の欠点を補うために、抗生剤(ばい菌をやっつける働きをする)入りステロイド軟膏を口腔粘膜用に改良したオリジナルの口内炎軟膏を用意しています。
劇的に効くとの評判です。(いつも出来たての口内炎にケナログを塗って7日~10日で治る方が平均2日で治る)「小さい口内炎が大きくならず小さいまま2日で消えてなくなる」
即効画像サイト①(再掲) 即効画像サイト②(再掲) 即効参考サイト
当医院の軟膏検証画像(再掲)
自分で作ることもできます
作り方その①
市販のテラコートリル軟膏とケナログ(またはアフタゾロン、その他後で紹介するケナログの類似品)を 1:1~1:2 の割合で綿棒などで混ぜれば出来上がります。
参考サイト① 参考サイト②
参考サイト③
参考twitter① 参考twitter② 参考twitter③
参考twitter④ 参考twitter⑤ 参考twitter⑥
参考twitter⑧
参考コメント① 参考コメント②
テラコートリル軟膏はテトラサイクリン系抗生剤とステロイド(コートリル)の合剤で、ケナログはステロイド(トリアムシノロンアセトニド)単味です。
2種類のステロイド軟膏を混ぜたからといって軟膏中のステロイドの濃度が2倍になる訳はなく、ステロイド全体で見た場合、足して2で割った濃度になるだけです。
(0.1%の軟膏と0.1%の軟膏を混ぜても0.2%の濃度にはならず0.1%のままです)。
また、口内炎に塗ることによって体内に吸収されるステロイドの絶対量はケナログ単味で塗っても、2種類を混ぜて塗っても同じです。
市販の軟膏でケナログとほぼ同じ成分(トリアムシノロンアセトニドと口腔粘膜用基材)を含むものに次の様なものがあります、
アフタガード(佐藤製薬)・トラフル軟膏PROクイック(第一三共)・オルテクサー口腔用軟膏(福地製薬)・口内炎軟膏大正クイックケア(大正製薬)
「病院で処方される医療用のテラコートリル軟膏は感染性口内炎の適用がありますが、全く同じものとはいえ市販用のものは現在適用がありません(昔はあった)ので口内炎に使用することは表向きは認められていません。従って正式には薦める事が出来ませんが、それでも使用する場合は自己責任で」
テラコートリル軟膏の様な抗生剤入り軟膏を口の中に塗るということは、例えほんの僅か(内服した場合の約100分の1)とはいえ結果的に抗生剤を飲み込む事になるので、念には念を入れて医師の処方が必要になったという事で、市販用のものは副作用が出るとか効き目がないと言う訳ではありません。
但し口内炎にへばり付き易くする為の口腔粘膜用基材が含まれておらず、口腔用という名前が付いていないせいもあって口内炎にテラコートリル軟膏を処方する医師は殆どいません。
「アフタ性口内炎も口の中で絶えずばい菌にさらされているので広い意味では感染性口内炎と言えます」
アフタ性口内炎も、絶えず唾液を介して口腔内細菌に晒されているため広い意味では感染性口内炎といえます「
補助的に、塗る前にイソジンやリステリン等の様な消毒作用のあるウガイ薬で口をよくゆすぎ、ばい菌の数を減らす事が大切です。但し、消毒薬は傷の治りを遅らせるので、ゆすいだ後真水でゆすぎ直す事がポイントです。
市販の口内炎軟膏やスプレータイプの外用薬に、塩化セチルピリジニウムという殺菌剤とアズレンスルホンサンナトリウムという(ステロイドより弱めの)消炎剤とを含む製品がありますが、殺菌剤や消毒剤は菌を殺すと同時に組織の再生を妨げ傷の治りを遅らせるので、効果はあまり期待出来ません。
その点、抗生剤は菌を殺す(厳密には菌の増殖を抑える)にも係わらず生体親和性があり、傷に為害作用がなく組織の再生を妨げないので、抗生剤入りのステロイド軟膏が口内炎を治すのに最も適してると言えます。
テラコートリル軟膏は皮膚にも使うためケナログ(オルテクサー)やアフタゾロン(デキサルチン)の様に口腔粘膜用基材を含みません。テラコートリル軟膏を口内炎に単味で塗ってもそれなりに効きますが、唾液に流され、永く留まりにくく効果が出づらい場合もあります。(しかも味がものすごく苦い)
そのため、口腔粘膜用基材を含むケナログ(オルテクサー)やアフタゾロン(デキサルチン)等と混ぜることにより両者の欠点を補ったよく効く口内炎用の軟膏が出来上がります。(苦みも多少薄まる)
塗る回数の目安としては毎食後と就寝前を含めおおよそ1日4~6回程度、但し舌の後方には苦みを感じる神経が集中してるため、この軟膏を寝る前に塗ると体が水平になり唾液に溶けた軟膏が舌の後方に流れて行きとても苦いです。従って口唇付近では問題ないですが、(我慢できる方は構いませんが)唾液の多い舌付近では寝る前に塗るのはやめた方がいいかもしれません。
痛みが消えたと思ってもまだ完全に粘膜の赤味(炎症)が消えてない事が多く、再びぶり返すおそれがあるため、痛みが消えても念のためもう半日ほど塗り続けた方がいいでしょう。
抗生剤の濃度的にはテラコートリル軟膏とケナログ(オルテクサー)の割合は 2:1 が理想的ですが、テラコートリル軟膏の割合が多いと唾液で流され易くなります。 唇の 内側やその付近の歯肉では唾液の流れがあまり無いので2:1~1:1でいいですが、舌付近では1:2ぐらいがいいでしょう。
塗り方としては患部の唾液をガーゼやティッシュ等(ティッシュは濡れると破けて粘膜に残ってしまいがち、しかも雑菌がついてるので、ドラッグストアー等に売ってる個別包装の滅菌済みガーゼが理想的です)で吸い取り乾燥させ、軟膏を指や綿棒(くるっと回転させる)等で置いて来る様に塗ります。
上級者向け応用編として、塗った軟膏の上に小さく切ったオブラートを貼り付け、唾液に溶けにくくするという技もあります。
また、アフタ性口内炎や火傷や咬傷等による口腔粘膜のびらん(ただれ)や潰瘍等には効果がありますが、ヘルペス性口内炎やカンジダ性口内炎に使用するとかえって悪化することがあります。
口腔粘膜の扁平苔癬(赤と白の網目模様状の炎症性病変)には、その潰瘍部分には多少効果はありますが、病変そのものを治すまでの効果はありません
さらに、口腔癌(初期は痛くないことが多い)を口内炎と思い込み漫然と軟膏を使い続け手遅れになってもその責を負い兼ねます。
二種類の軟膏を混合し使う事により効果が増強することは確かだし、それにより何らかの副作用が出ることは限りなく考えにくいですが、薬である以上どんな薬にも僅かながらアレルギー等の副作用が出る可能性は否定できません。
通常とは異なった用法をする以上副作用などのトラブルが生じてもそれぞれの製薬会社は一切責任を負いませんし、国の医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。また、当院も一切の責を負いかねます。
当院に通院中の患者様が、当院の処方した軟膏により万が一アナフィラキシー等の様な重篤なアレルギー症状に陥った場合、不可抗力とはいえ医師賠償責任保険の支払対象となりますが、その他の方は支払対象になりません。
テラコートリルに含まれるテトラサイクリン系抗生剤は妊婦が長期間内服摂取すると胎児の歯が黄色くなるという副作用があり妊婦には禁忌とされています。しかしながら口内炎に局所塗布し飲み込んだ場合の摂取量は内服投与を受けた場合の約100分の1なのでほとんど心配ないと思いますが妊娠されている方で心配な方は念のため使用を避けて下さい。
また、ケナログの様なステロイド軟膏を口腔内に使用すること自体、妊婦は長期連用を避けるべき、ということになってます。
作り方その②
舌の裏やその付近の粘膜、その他唾液の流れが多い部分では軟膏が口内炎に留まりにくい為 効果が出づらく、テラコートリル軟膏に対しケナログの割合を多くしても限界があります。
そういうケースではテラコートリル軟膏にCMCを混ぜたものが効果を発揮します。(さらにオブラートを被せるとなお良し)
テラコートリルとケナログという2種類のステロイド軟膏を混ぜる事によるステロイドの副作用が気になってしょうがないという方にはかえってお薦めです。テラコートリルに含まれるコートリルというステロイドはケナログより弱いステロイドですし、CMCを混ぜることによりステロイドの濃度も薄まりますから。
CMCとは正式名カルボキシメチルセルロースナトリウム(別名カルメロースナトリウム)といい、増粘剤としてケーキ等の製菓材料として使用され、飲み込んでも無害とされていて、ケナログやオルテクサー等の口内炎用軟膏に粘膜に貼り付き易くする為の基材として含まれています。
但し粉末なので使用する都度綿棒でテラコートリル軟膏に混ぜるという訳にはいかず、あらかじめ作り置きすることになる上、作り方も入手方法も多少手間が掛かります。
CMCの入手方法
「食材ウィッチクラフト」でネット検索すれば WITCH CMCという商品 100g 550円で通販購入できます。
(株)ウィッチクラフト TEL 052-452-0722
作り方:底が丸みを帯びた清潔な おちょこ等に6gチューブ入りテラコートリル軟膏全量絞り出し、CMC 2.0g(コーヒースプーン擦り切れ一杯程度)を入れ、清潔な割り箸等で練る様に均等に混ぜれば出来上がります。
ラップをして冷蔵庫保管で有効期限3~4カ月です。
調合後軟膏は使用する都度清潔な綿棒ですくい、指や不潔な綿棒ですくわない様注意して下さい。
塗り方は先程述べた通りです。
薬品問屋から薬品購入可能な医療関係者は~
テラコートリル軟膏25g入り/本(陽進堂750円)
カルメロースナトリウム(CMC)500g入り(丸石製薬3300円)
5g用軟膏容器100個入り(エムアイ印900円)
を購入し テラコートリル軟膏25gに CMC10g を
歯科用ラバーボールとスパチュラ または
軟膏板と軟膏ヘラで混和し5g容器に入れる 自家製軟膏が7個できる
処方薬、市販薬を含め世に出回っている口内炎の塗り薬や貼付薬は付いている時だけ痛みを和らげますが、傷の治りを早める効果はほとんど無く自然治癒を待つしかないのが現状で、塗っても塗らなくても口内炎の治る早さは変わりません。長年頻繁に口内炎が出来、(病院で処方されたものを含め)あらゆる塗り薬や貼り薬を体験した方なら良くご存じのはずです。
少し手を加えるだけで塗った直後に痛みが和らぐ上口内炎の治癒期間を半減またはそれ以下にさせる治療法を紹介いたしました。
一般的なアフタ性口内炎のみならず、抗がん剤の副作用による口内炎(口腔粘膜炎)やベーチェット病による口内炎で苦しまれている方々の一助になることを心よりお祈り申し上げます。(このブログの最大の目的です。)
某大学病院の研究で、大勢のアフタ性口内炎の患者を3つのグループに分け、①ステロイド軟膏 ②ステロイド貼付剤 ③ハチミツ を使用し検証した結果、ハチミツを塗ったグループの治りが最も早かった、という報告がありますが、ハチミツに治癒効果があるというよりステロイド剤が治癒を遅らせているということに他なりません。
もし4つのグループに分け、④抗生剤入りステロイド軟膏、も使用して検証していたらどういう結果になっていたでしょう。言うまでもありません。
細菌だらけの口腔内環境において、口内炎にステロイド軟膏や貼付剤を使用するのは愚の骨頂と言うしかありません
最後に、ここに書かれてる事は医師、歯科医師の方には診療のお役に立ててて頂きたいですが、一般の方には「口内炎に使用するには本来医師の処方が必要なテラコートリル軟膏を自分で入手する形になる上、正規の用法から逸脱している関係上」お薦めすることはできませんので参考程度にして下さい。それでも実行する際は「自己責任で」という事をご留意下さる様お願いします。
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ファミリー歯科
住所:神奈川県横浜市瀬谷区三ツ境2-24
mail:0ym6r211386213t@ezweb.ne.jp
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